「事故物件は安いと聞くけれど、実際にどれくらい安いのだろう」「なぜあんなに価格が下がるのか理由がわからない」と疑問に感じている方は少なくありません。
事故物件が安くなる主な理由は「心理的瑕疵」にあります。事故の内容や物件の状態によって値下がり幅は異なりますが、賃貸では相場より2〜3割、売買では内容次第で半額以下になるケースもあります。
本記事では、事故物件が安くなる理由・賃貸と売買それぞれの相場・事故の種類別の値下がり幅の目安・借りる・買う際のリスクと注意点まで、網羅的に解説します。
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目次
事故物件が安い3つの理由
事故物件は、なぜ通常の物件より安く設定されるのでしょうか。価格が下がる背景には、法律上の義務・心理的な要因・物件の物理的な状態という3つの要因があります。それぞれを順に解説します。
告知義務によって事故の事実が開示されるから
宅地建物取引業法では、不動産の取引において重要事項を買主・借主に説明する義務があります。事故物件に該当する場合、貸主や不動産会社は「告知事項あり」として事故の事実を相手方に伝えなければなりません。
告知を受けた相手が心理的に抵抗を感じることは避けられず、通常の価格では借り手・買い手がつきにくくなります。そのため、貸主や売主は価格を下げて需要を補う必要があります。
国土交通省のガイドライン(2021年改訂)では、自殺や他殺はおおむね賃貸で事故発生から3年間、売買では期限を設けず告知することが推奨されています。告知義務の期間が続く間は、価格を下げた状態での運営が続きます。
心理的瑕疵によって需要が減少するから
事故物件の価格が下がる最大の理由は、「人が亡くなった場所に住むことへの心理的な抵抗感」です。この心理的な嫌悪感を不動産業界では「心理的瑕疵(かし)」と呼びます。多くの人が事故物件に抵抗を感じるため、通常の物件と同じ価格では入居者・購入者がほとんど見つかりません。
また将来的に物件を手放す際も、再び事故物件として扱われることが多く、転売時の価格低下も見込まれるため、初めから価格を低く設定するケースが一般的です。
物件自体が物理的に損傷しているから
孤独死や遺体の発見が遅れたケースでは、遺体の腐敗や体液の浸透によって床・壁・天井などに深刻なダメージが残ることがあります。特殊清掃やリフォームを実施しても、臭いや汚損が完全に除去できないケースもあり、物件の物理的な価値が下がります。このような場合は、心理的な要因に加えて物件状態の悪化も価格の下落要因となります。
賃貸の事故物件はどのくらい安い?
「実際に事故物件を借りると、家賃はどれくらい安くなるのか」は多くの人が気になるポイントです。相場感と、安さが続く期間の目安を整理します。
賃貸の事故物件は、周辺相場より2〜3割安く設定されるケースが一般的です。ただし事故の内容が重篤な場合は、初回募集時に半額程度まで下がることもあります。
賃貸における値下がり幅の目安
賃貸の事故物件の家賃は、通常の物件と比べて20〜30%安く設定されるのが一般的です。つまり通常7万円の物件であれば、約5〜5.6万円程度の家賃になるイメージです。
ただし「事故物件だから必ず家賃を下げなければならない」という法律はなく、割引はあくまで貸主が入居者を集めるために自主的に行っているものです。
安い家賃がずっと続くわけではない
賃貸の告知義務は、事故発生からおおむね3年間とされています。3年が経過すると告知が不要になるため、次の契約更新のタイミングで家賃が値上げされる可能性があります。借地借家法では、正当な理由があれば貸主は家賃の増額を請求できるため、「ずっと安い家賃で住み続けられる」とは限りません。
事故物件に住む場合は、将来的な値上げのリスクも考慮した上で判断することが重要です。
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売買の事故物件はどのくらい安い?
賃貸と比べて、売買における事故物件の価格は下落幅がより大きくなる傾向があります。事故の内容・報道の有無・物件の立地などによって相場は大きく異なるため、目安と判断基準を整理します。
売買における事故物件の価格は、軽微なケースで5〜10%減、重大な事故では30〜50%減、ニュースで広く報道された物件では半額以下になるケースもあります。
売買における値下がり幅の目安
売買の場合、事故物件は賃貸よりも値下がりの影響が長期にわたります。告知義務に法的な終了期限がないため、購入者が納得するまで説明を続けるケースもあります。事故内容別の値下がり幅の目安は以下の通りです。
| 事故の内容 | 売買における値下がり幅の目安 |
|---|---|
| 孤独死(早期発見・軽微) | 相場より5〜10%安 |
| 自殺・火災事故 | 相場より20〜30%安 |
| 他殺・社会的インパクトの大きい事件 | 相場より30〜50%安 |
| 全国報道レベルの事件・事故 | 半額以下になるケースも |
また、タワーマンションや人気立地の物件でも、事故が発生した場合は市場価格が約2割下落するケースが多いとされています。立地の良さが一定のクッションになりますが、事故の影響を完全に打ち消すことはできません。
訳あり専門業者への売却と通常売却の違い
一般的な不動産会社を通じて仲介売却しようとすると、事故物件であることを理由に断られたり、相場の2〜5割減という低い価格でしか買い手がつかないケースが多くあります。
一方、事故物件を専門に扱う買取業者であれば、現状のままスピーディーに売却できます。自社買取を行っている業者の場合、仲介を介さないため手数料が発生しないケースもあります。
事故の種類別・値下がり幅の比較
事故物件といっても、その内容は孤独死・自殺・他殺・火災など様々です。事故の種類によって心理的瑕疵の大きさが異なるため、価格への影響も変わります。賃貸・売買の両面から整理します。
自然死・病死は原則として告知不要ですが、遺体の発見が遅れて特殊清掃が必要になった場合は事故物件として扱われます。事故の内容だけでなく「発見までの時間」も価格に大きく影響します。
死亡原因別の賃貸価格への影響
死亡原因によって、賃貸の家賃がどの程度下がるかは大きく異なります。目安として参考にしてください。
| 死亡原因 | 賃貸の値下がり幅(目安) | 告知義務 |
|---|---|---|
| 自然死・病死(早期発見) | 0〜10%程度 | 原則不要 |
| 孤独死(発見が遅れた) | 20〜50%程度 | あり |
| 自殺 | 30〜50%程度 | あり(約3年) |
| 他殺 | 50〜70%程度 | あり |
他殺や社会的に注目された事件の場合、50〜70%という大幅な値下げを行っても入居者が見つかりにくいケースがあります。このような物件を所有している場合は、賃貸継続よりも早期売却を検討する方が損失を最小化できることがあります。
隣室・近隣の物件も安くなる場合がある
集合住宅では、事故が起きた部屋だけでなく、隣室や上下階の部屋も家賃を交渉次第で安くしてもらえるケースがあります。事故が直接起きた部屋ではないものの、精神的に気になる入居者が退去するケースもあるため、近隣の部屋の家賃も周辺相場より低く設定されることがあります。
事故物件を安く借りる・買う際のリスクと注意点
価格の安さを理由に事故物件を選ぶことは、一定の合理性があります。しかし、安さにはそれ相応のリスクが伴います。後悔しないために、事前に把握しておくべき注意点を整理します。
- 賃貸は契約更新時に家賃が値上げされる可能性がある
- 購入後も将来の転売時に事故物件として扱われ続ける
- 臭いや精神的ストレスが実際に生活へ影響することがある
賃貸の場合:家賃値上げと精神的負担のリスク
前述の通り、賃貸の告知義務はおおむね3年間です。3年経過後の更新時に家賃が値上げされる可能性があるため、「安い家賃のまま長期間住める」という前提で計画を立てるのはリスクがあります。
また「事前に気にしない」と思っていても、実際に住み始めてから精神的な負担を感じるケースも少なくありません。内見時に特殊清掃の有無・実施時期・内容を必ず確認することをおすすめします。
購入の場合:転売・資産価値へのリスク
事故物件を購入した場合、将来手放す際にも事故物件として扱われ、通常の物件より低い価格での売却を余儀なくされる可能性があります。安く購入できたとしても、売却時にも安値になってしまうと資産としての価値が期待通りにならないケースがあります。投資目的での購入を検討している場合は、周辺の再販事例を事前に調査しておくことが重要です。
また、「大島てる」などのインターネット上に事故情報が半永久的に残ることで、入居者探しや売却がさらに困難になるリスクもあります。
事故物件かどうかを事前に確認する方法
事故物件かどうかを調べる主な方法は以下の通りです。
- 賃貸契約書・重要事項説明書の「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」の記載を確認する
- 大島てる(事故物件公示サイト)で住所を検索する
- 不動産ポータルサイトで同エリアの相場と比較し、極端に安い物件を疑う
- 担当の不動産会社に直接、過去の事故・事件の有無を確認する
事故物件の調べ方について詳しく解説している記事も公開しておりますので、合わせてご覧ください。
事故物件に関するよくある質問
事故物件の安さや探し方・リスクについて、よく寄せられる質問をまとめました。入居・購入・売却のいずれを検討している方も、判断の参考にしてください。
Q
事故物件の家賃はどのくらい安いですか?
A
周辺相場より2〜3割安く設定されるケースが一般的です。事故の内容が重篤な場合(他殺や広く報道された事件など)は、初回募集時に半額程度まで下がることもあります。
ただし法律で値引き幅が定められているわけではなく、貸主が自主的に設定するものです。
Q
事故物件は永久に安いままですか?
A
賃貸の場合、告知義務の期間はおおむね3年間です。3年経過後は告知が不要になるため、契約更新のタイミングで家賃が値上げされる可能性があります。
売買の場合は告知義務の終了期限がないため、長期的に価値が戻りにくいケースもあります。
Q
自然死の場合、事故物件として告知が必要ですか?
A
国土交通省のガイドラインでは、自然死や日常生活での不慮の死は原則として告知不要とされています。ただし、遺体の発見が遅れて特殊清掃が必要になった場合は、自然死でも告知が必要な事故物件として扱われます。
Q
事故物件かどうかを入居前に確認できますか?
A
確認方法はいくつかあります。賃貸契約書・重要事項説明書に「告知事項あり」と記載されているかを確認する方法、事故物件公示サイト「大島てる」で住所を検索する方法、不動産会社に直接確認する方法などが有効です。
同エリアの相場と比べて極端に安い物件は、事故物件である可能性を疑って確認してみましょう。
Q
事故物件を売却したいのですが、相場よりも高く売ることはできますか?
A
一般的な仲介では買い手がつきにくいため、事故物件専門の買取業者に相談するのが現実的です。専門業者は物件の「将来の再活用価値」を含めて査定するため、一般業者よりも高い価格を提示できるケースがあります。
複数の専門業者に査定を依頼して比較することで、より良い条件での売却につながります。
まとめ
事故物件が安い主な理由は、告知義務による事故情報の開示・心理的瑕疵による需要の減少・物件の物理的な損傷の3つです。賃貸では周辺相場より2〜3割安くなるのが一般的で、売買では事故の内容によって5〜50%以上の値下がりが生じます。
一方で、安さだけで判断するとリスクもあります。賃貸では3年後の家賃値上げ、購入では将来の転売時の価格低下が懸念されます。事故の内容・告知義務の範囲・特殊清掃の有無を事前にしっかり確認した上で、自分の状況と価値観に合った判断をすることが大切です。
事故物件を所有していて売却を検討している方は、一般的な不動産会社では対応が難しいケースも多いため、専門業者への相談が解決の近道です。
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