「空き家に残った家具や家電、処分にいくらかかるのだろう」「残置物の撤去費用は誰が負担するの?」——相続した実家や賃貸物件の退去後に、こうした悩みを抱える方は少なくありません。
残置物撤去の費用は1㎥あたり5,000〜15,000円が目安で、一軒家をまるごと片付ける場合は20万〜60万円程度が一般的な相場です。ただし、やり方次第で費用を大きく抑えることも可能です。
この記事では、残置物撤去の定義から間取り別の費用相場、費用負担のルール、具体的な手順、5つの節約術、業者選びのポイントまでをわかりやすく解説します。
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目次
残置物撤去とは何かをわかりやすく解説
残置物撤去とは、以前の居住者や所有者が残した家具・家電・生活用品などの動産物を建物から搬出・処分する作業のことです。「動産物撤去」や「家財整理」とも呼ばれ、空き家の売却・解体・賃貸物件の退去後などで必要になります。

残置物の定義と具体例
残置物とは、不動産に残された動かせるもの(動産物)すべてを指します。建物に据え付けられたキッチンや洗面台などの設備とは異なり、後から運び込まれた物品が対象です。
残置物撤去が発生する代表的なケースとしては、相続した実家の片付け、施設入居に伴う一軒家の整理、賃貸物件で入居者が退去時に放置したケース、夜逃げによって家財がそのまま残されたケースなどが挙げられます。
残置物として扱われる物品は主に次のようなものです。
- 家具類:タンス・ベッド・ソファ・テーブル・食器棚など
- 家電類:冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン・電子レンジなど
- 生活用品:衣類・布団・食器・書籍・雑貨など
- その他:自転車・庭の物置・植木鉢・趣味の道具類など
残置物と不用品・設備の違い
残置物と混同されやすい用語との違いを整理しておきましょう。
| 用語 | 定義 | 処分の主体 |
|---|---|---|
| 残置物 | 前の居住者が残した家財道具全般 | 所有者・相続人・物件オーナー |
| 不用品 | 自分自身が不要と判断した物 | 自分自身 |
| 設備 | 建物に付属するキッチン・洗面台・給湯器など | 物件オーナー |
残置物は不動産取引や解体工事の現場で使われる専門用語であり、一般的な「引っ越しゴミ」と同じ扱いです。ただし、所有権が前の住人にある場合は勝手に処分できないため、法的な取り扱いに注意が必要です。
残置物撤去の費用相場を間取り別に紹介
- 残置物撤去の費用は1㎥あたり5,000〜15,000円が相場
- 国土交通省の調査では1件あたり平均約40万円
- 物量・搬出環境・残置物の種類で費用は大きく変動する

間取り別の費用目安
残置物撤去費用は、間取りよりも物量(㎥)で決まるのが実態です。とはいえ、間取りは物量の目安になるため、以下のような相場感を把握しておくと見積もり時の参考になります。
| 間取り | 費用相場 | トラック目安 |
|---|---|---|
| 1R・1K | 3万〜10万円 | 軽トラ1〜2台 |
| 1LDK・2DK | 10万〜20万円 | 2tトラック1台 |
| 2LDK・3DK | 15万〜30万円 | 2tトラック1〜2台 |
| 3LDK・4DK | 25万〜50万円 | 2tトラック2〜3台 |
| 4LDK以上の一軒家 | 35万〜65万円 | 2tトラック3〜5台 |
ゴミ屋敷のように大量の残置物がある状態では、50万〜100万円以上かかるケースもあります。正確な費用は現地見積もりで確認しましょう。
費用を左右する4つの要因
同じ間取りでも費用に大きな差が出るのは、以下の4つの要因が影響するためです。
- 物量の多さ:長年住み続けた一軒家では2tトラック3〜5台分になることも珍しくない
- 搬出の難易度:エレベーターなし・階段のみ・狭い通路は作業時間が増え費用が上がる
- 残置物の種類:家電リサイクル法の対象品(テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン)は別途リサイクル料が必要
- 汚染度・特殊清掃の要否:孤独死などで汚染がある場合は特殊清掃費用が加算される
孤独死があった物件では、残置物撤去に加えて特殊清掃が必要になるケースも少なくありません。孤独死の清掃(特殊清掃)の費用や流れについて詳しく知りたい方は、あわせてご確認ください。
費用の内訳を知っておこう
残置物撤去費用の内訳を理解しておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。主な構成は次のとおりです。
| 費目 | 内容 | 費用全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 人件費 | 作業員の仕分け・搬出にかかる費用 | 約30〜40% |
| 処分費 | 廃棄物の処分・リサイクルにかかる費用 | 約30〜40% |
| 運搬費 | トラックによる搬出・輸送の費用 | 約15〜20% |
| 諸経費 | 車両費・養生費・事務手数料など | 約10〜15% |
人件費と処分費だけで全体の6〜8割を占めるため、自分で仕分け・処分できる量を増やすほど費用削減につながります。
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残置物撤去の費用は誰が払う?
残置物撤去の費用は、原則として残置物の所有権を持つ人が負担します。賃貸物件では退去した借主、相続物件では相続人、売買物件では売主が基本です。ただし状況によって例外もあるため、ケースごとに確認が必要です。

賃貸物件での費用負担
賃貸物件では、退去時に借主が残した物品の所有権は借主本人にあります。そのため、本来は借主が残置物を処分する義務を負います。
しかし、借主と連絡が取れない場合や夜逃げのケースでは、やむを得ず物件オーナーや大家が費用を負担することが多いのが実態です。この場合でも、残置物には借主の所有権が残っているため、勝手に処分すると器物損壊や窃盗に問われるリスクがあります。
トラブルを防ぐには、賃貸契約書で残置物の取り扱いについて明確に取り決めておくことが重要です。
相続・売却時の費用負担
相続物件の場合、残置物の撤去費用は相続人が負担するのが原則です。相続人が複数いる場合は遺産分割協議で費用負担の割合を決めるか、相続財産から支出するのが一般的です。
なお、相続放棄をすれば残置物撤去の義務はなくなりますが、放棄前に残置物を処分・持ち出すと相続を承認したとみなされるリスクがあるため注意が必要です。
不動産売却の場合は、売主が残置物を撤去してから引き渡すのが基本です。ただし、訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、残置物をそのまま引き取りに対応してもらえることもあります。
民法改正で変わったポイント
2020年の民法改正により、賃貸物件における残置物の処理責任がより明確になりました。国土交通省は「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表し、入居時に受任者を選定しておくことで、入居者の死亡時にもスムーズに残置物を処理できる仕組みを整えています。
特に高齢者の単身入居では、この契約条項を活用しておくことで「費用は誰が払うのか」というトラブルを未然に防ぎやすくなります。
残置物撤去の具体的な手順と流れ
- 自分で処分すれば「一般廃棄物」扱いとなり費用を大幅に抑えられる
- 業者に依頼すると搬出から処分まで一括で任せられるが費用は高くなる
- どちらの場合も事前に貴重品・重要書類の仕分けを行うことが大切

自分で処分する場合の方法
残置物を自分で処分する場合、以下の方法を組み合わせることで費用を最小限に抑えられます。
- 自治体のゴミ回収サービス:燃えるゴミ・資源ゴミ・不燃ゴミを分別し、収集日に出す方法。費用はほぼ無料だが時間がかかる
- 粗大ゴミの回収申し込み:自治体の窓口で申し込み、処理券を購入して指定日に出す。1点あたり数百〜数千円程度
- ゴミ処理場への直接持ち込み:車があれば重量制で安く処分でき効率が良い。10kgあたり100〜200円程度の自治体が多い
- リサイクルショップへの売却:状態の良い家具・家電は買い取ってもらえる可能性がある
- フリマアプリ・ネットオークション:時間に余裕があれば個別に売却して収入にできる
なお、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンの4品目は家電リサイクル法の対象となり、粗大ゴミとしては処分できません。家電量販店やメーカーの回収サービスを利用し、リサイクル料と収集運搬費を支払って引き取ってもらう必要があります。
業者に依頼する場合の流れ
残置物の量が多い場合や時間的余裕がない場合は、専門業者への依頼が現実的な選択肢です。一般的な依頼の流れは次のとおりです。
- 問い合わせ・現地調査:電話やWebで連絡し、現地で残置物の内容・量を確認してもらう
- 見積もり提示:物量・搬出条件をもとに費用を算出し、見積書を受け取る
- 契約・日程調整:内容に合意したら契約を結び、作業日を決定する
- 仕分け・搬出作業:作業当日に残置物の分別・搬出を実施。貴重品や保管品は事前に業者に伝えておく
- 処分・完了確認:廃棄物の適正処理を行い、作業完了後に立ち会い確認を行う
業者によっては写真だけで概算見積もりを出してくれるところもあるため、まずは現場の写真を撮影しておくとスムーズに進められます。
残置物撤去の費用を抑える5つの方法
- 自分で処分量を減らすだけで数万円〜十数万円の節約になる
- 相見積もりは最低3社に依頼して比較する
- 補助金や残置物ごとの買取サービスも選択肢に入れる

自分で処分量を減らす
残置物撤去の費用は物量に比例するため、業者に依頼する前に自分で処分できるものを減らすのが最も効果的な節約術です。
ゴミの日に少しずつ出す方法であれば費用はほぼかかりません。時間はかかりますが、日用品・衣類・書籍など分別が容易なものを優先的に片付けるとよいでしょう。自治体のゴミ処理場に直接持ち込めば、さらに効率的に大量処分が可能です。
相見積もりで比較する
残置物撤去の費用は業者によって数万円〜十数万円の差が出ることも珍しくありません。最低でも3社以上から見積もりを取り、料金だけでなく作業内容・処分方法・追加料金の有無を比較することが重要です。
見積もり時に確認すべき項目としては、搬出費・処分費・運搬費が内訳として明示されているか、追加料金が発生する条件は何か、作業後の清掃は含まれるかなどが挙げられます。
買取サービスを活用する
残置物の中にまだ使える家具・家電がある場合は、買取に対応している業者に依頼することで撤去費用を相殺できる可能性があります。リサイクルショップへの持ち込みのほか、撤去と買取を同時に行ってくれる業者を選ぶと手間も省けます。
補助金制度を確認する
残置物撤去そのものに対する補助金は多くありませんが、空き家対策の一環として残置物撤去費用を補助する自治体が一部存在します。たとえば、空き家の売買・賃貸契約を条件に残置物撤去費用の2分の1(上限10万円程度)を補助する制度などがあります。
また、空き家の解体を前提としている場合は、解体費用に残置物撤去費用が含まれる補助金を利用できるケースもあります。お住まいの自治体の窓口やWebサイトで「空き家 補助金」「残置物 補助金」と検索してみましょう。
残置物ごと買取できる業者を選ぶ
「片付ける費用も時間もない」という場合は、残置物がある状態のまま不動産を買い取ってくれる専門業者に相談するのも有効な方法です。訳あり物件や事故物件を専門に扱う不動産会社であれば、残置物の撤去費用を込みで買取価格を提示してくれるため、自分で撤去する手間と費用を丸ごと省けます。
事故物件や孤独死物件の売却をお考えの方は、事故物件の売却方法やメリット・デメリットもあわせてご確認ください。
信頼できる残置物撤去業者の選び方
残置物撤去業者の中には無許可で営業しているケースもあります。許可証の確認・見積もり内容の精査・口コミや実績の確認を行い、信頼できる業者を選びましょう。

許可証の有無を確認する
残置物は法律上「一般廃棄物」に分類されるため、収集・運搬を行う業者には一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。この許可を持たない業者に依頼すると、不法投棄のリスクがあるだけでなく、依頼者も責任を問われる可能性があります。
また、遺品整理を兼ねる場合は「古物商許可」の有無も確認しておくと安心です。一軒家の遺品整理を検討中の方は、一軒家の遺品整理費用の相場も参考にしてください。
見積もり内容を精査する
信頼できる業者は、見積書に費目ごとの内訳を明記しています。「一式◯万円」とだけ記載されている見積もりは、後から追加費用が発生するリスクが高いため注意が必要です。
具体的には、人件費・処分費・運搬費・養生費・家電リサイクル料がそれぞれ明記されているかを確認しましょう。また、「追加料金が発生する場合の条件」を事前に質問しておくとトラブルを防げます。
悪徳業者を見分けるコツ
残置物撤去業者の中には悪質な業者も存在します。以下のような特徴が見られる場合は依頼を避けたほうが安全です。
- 「無料回収」を強調し、当日になって高額請求をしてくる
- 見積もりが口頭のみで書面を出さない
- 許可番号を提示できない・会社の所在地が不明確
- 相場から大きく外れた格安料金を提示する
相場から極端に安い業者は、不法投棄でコストを下げている可能性があります。自分が依頼した廃棄物が不法投棄された場合、依頼者側にも責任が及ぶリスクがあることを覚えておきましょう。
残置物撤去に関するよくある質問
残置物撤去でよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。事前に確認しておくことで、スムーズに撤去を進められます。
Q
残置物撤去にはどれくらいの期間がかかりますか?
A
業者に依頼した場合、1R〜2LDK程度なら半日〜1日、3LDK以上の一軒家では1〜2日が目安です。物量が極端に多い場合や特殊清掃が必要な場合は3日以上かかることもあります。自分で処分する場合は、週末ごとに少しずつ進めて1〜2か月ほどかかるのが一般的です。
Q
残置物を勝手に処分してもいいですか?
A
原則として、残置物の所有権が前の住人にある場合は勝手に処分できません。無断で処分すると窃盗罪や器物損壊罪に問われるリスクがあります。賃貸物件の場合は退去者に連絡を取り、処分の同意を書面で得るのが安全です。連絡が取れない場合は弁護士や専門家に相談しましょう。
Q
解体工事で残置物をまとめて処分できますか?
A
解体業者に残置物の処分を依頼することは可能ですが、その場合は産業廃棄物として扱われるため処分費用が割高になります。木製の家具など一部は解体廃材と一緒に処分できる場合もありますが、事前に自分で処分しておくほうが解体費用全体を安く抑えられます。
Q
事故物件の残置物撤去はどうすればいいですか?
A
事故物件の場合、残置物撤去に加えて特殊清掃や消臭処理が必要になることが多く、通常より費用が高くなります。遺品整理と特殊清掃の両方に対応できる専門業者に一括で依頼するのが効率的です。また、撤去・清掃後の売却を検討しているなら、事故物件の取り扱いに慣れた不動産会社への相談もおすすめです。
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