実家じまいの補助金3種類と申請の手順・費用を抑える5つの方法を解説

実家じまいの補助金3種類と申請の手順・費用を抑える5つの方法を解説

「実家じまいをしたいけれど、解体費用だけで100万円以上かかると聞いて踏み出せない」「使える補助金があるなら知りたい」──空き家になった実家の処分に悩み、費用面で手が止まっている方は少なくありません。

結論からお伝えすると、自治体が用意する補助金制度を活用すれば解体費用の1/5〜1/2、金額にして30万〜100万円程度の支援を受けられる可能性があります。さらに補助金以外にも税制優遇や費用を抑えるコツを組み合わせれば、自己負担を大幅に軽減できます。

この記事では、実家じまいに使える補助金3種類の概要から申請手順、費用の全体像、そして自己負担をさらに減らす5つの方法までまとめて解説します。

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実家じまいで使える補助金は3種類

自治体によって制度名や条件は異なりますが、実家じまいで活用できる補助金は大きく3タイプに分かれます。いずれも国土交通省の「空き家対策総合支援事業」を財源として各自治体が独自に運用しているため、まずは実家がある市区町村の窓口に問い合わせることが第一歩です。

老朽危険家屋の解体補助金

最も利用件数が多いのが、倒壊の恐れがある老朽家屋の解体費を補助する制度です。自治体の職員が現地調査を行い、外壁のひび割れや屋根の損傷などから「不良住宅」と判定されれば対象になります。

補助額は解体費用の1/5〜1/2程度で、上限30万〜100万円程度に設定されているケースが多く見られます。たとえば東京都墨田区の「老朽危険家屋除却費等助成制度」では不良度100点以上と判定された空き家が対象になり、埼玉県飯能市の「木造住宅除却工事補助金」では旧耐震基準(昭和56年5月31日以前着工)かつ耐震診断で倒壊の危険性ありと判断された木造住宅が対象です。

なお、申請者の所得制限を設けている自治体もあるため、補助額だけでなく申請条件を事前に確認しておきましょう。

参考元:墨田区「老朽危険家屋除却費等助成制度
参考元:飯能市「飯能市木造住宅除却工事補助金交付要綱

都市景観形成地域の除却補助金

観光地や歴史的景観保全地区など、都市の景観を守る目的で設けられた補助金です。建物の危険度に関わらず、景観維持のための除却や修繕に対して費用が支援されます。

ただし、解体後に景観形成基準を満たす土地利用が条件になるため、更地のまま放置するだけでは対象外となる点に注意が必要です。実家が景観重要地域にある場合は、自治体の都市計画課や景観担当窓口に相談してみましょう。

空き家の利活用・改修補助金

実家を解体せずに活用したい場合に有効なのが、利活用・改修にかかる費用を補助する制度です。カフェや地域の交流施設への転用、空き家バンクを通じた売却・賃貸の際のリフォーム費用が補助対象になります。

空き家バンクに登録した物件が売却・賃貸された際に、リフォーム費用や仲介手数料の一部が補助されるケースもあります。「解体か活用かまだ決まっていない」という段階でも、選択肢として知っておく価値がある制度です。

補助金の申請手順と必要書類

補助金の申請は事前相談から始まり、交付決定を経て着工に進む流れが基本です。必要書類も含めて全体像を把握し、スムーズに手続きを進めましょう。

事前相談から交付決定までの流れ

補助金を受け取るまでの一般的な流れは、次の6ステップです。自治体によって一部異なる場合がありますが、大枠はほぼ共通しています。

  • 自治体の窓口で事前相談(対象要件の確認)
  • 自治体職員による現地調査・不良度判定
  • 解体業者から見積もりを取得
  • 申請書類を提出
  • 交付決定通知を受けてから解体工事を契約・着工
  • 工事完了後に実績報告書を提出し、補助金が支給される

事前相談から交付決定まで数週間〜1か月以上かかるケースが一般的です。耐震診断が必要な場合はさらに期間が延びるため、余裕のあるスケジュールで進めましょう。

申請に必要な書類一覧

必要書類は自治体によって異なりますが、一般的に求められるのは「不動産の情報を証明する書類」「所有権や相続関係を証明する書類」「解体工事の費用を証明する書類」の3カテゴリです。

カテゴリ代表的な書類
不動産の情報土地・建物の登記事項証明書
固定資産税納税証明書
住宅の配置図・写真
所有権・相続関係戸籍謄本
遺産分割協議書(相続の場合)
所有者の同意書
工事費用解体業者の見積書
業者の許可証または登録通知書の写し
その他申請書
暴力団排除に関する誓約書
現地写真

発行に時間がかかる書類もあるため、事前相談の段階で必要書類リストをもらっておくとスムーズです。

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実家じまいにかかる費用の全体像

実家じまいには解体だけでなく片付けや法的手続きにも費用がかかります。何にいくら必要なのか全体像を把握し、予算オーバーを防ぐことが大切です。

解体費用の構造別相場

実家を解体して更地にする場合、建物の構造と延べ床面積によって費用が大きく変わります。一般的な30坪の住宅を想定した場合の相場は次のとおりです。

構造坪単価の目安30坪の場合
木造約3万〜5万円約90万〜150万円
鉄骨造約5万〜7万円約150万〜210万円
RC造(鉄筋コンクリート)約6万〜8万円約180万〜240万円

隣家との距離が近い場合やアスベストが使用されている場合は、上記よりもさらに高額になることがあります。

遺品整理・残置物撤去の費用目安

実家じまいでは建物の解体だけでなく、室内に残った家財道具や不用品の処分にも費用がかかります。

間取り遺品整理の相場
1R〜1K約3万〜8万円
2DK〜2LDK約9万〜25万円
3LDK〜4LDK約15万〜50万円
一戸建て(5部屋以上)約20万〜60万円

荷物の量や作業時期、特殊清掃の有無で金額は大きく変動します。自分で処分できるものは事前に片付けておくと、業者への依頼費用を10%〜30%程度抑えられるケースもあります。

遺品整理の費用について詳しく解説して記事も公開しておりますので、あわせてご覧ください。

相続登記や各種手続きの費用

実家を相続してから処分するまでには、法的な手続き費用も発生します。

  • 相続登記の登録免許税:固定資産税評価額の0.4%
  • 司法書士への報酬:5万〜10万円程度
  • 戸籍謄本・住民票などの取得費:数千円〜1万円
  • 仲介売却の場合の仲介手数料:売却価格の3%+6万円(税別)

2024年4月から相続登記が義務化されており、正当な理由なく3年以内に登記しなかった場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。早めの対応が費用面でもリスク面でも有利です。

補助金以外に使える税制優遇制度

実家じまいの費用を抑える手段は補助金だけではありません。売却時に使える税制優遇を活用すれば、手元に残る金額を大きく増やすことが可能です。

空き家の3,000万円特別控除

相続した実家を売却する際、一定の条件を満たすと売却益(譲渡所得)から最大3,000万円を控除できる制度です。利益が3,000万円未満であれば所得税・住民税が実質ゼロになるため、実家じまいの際にはぜひ活用したい特例といえます。

主な適用条件
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 相続開始の直前まで被相続人が居住していたこと(老人ホーム入居でも一定条件で可)
  • 1981年5月31日以前に建築された旧耐震基準の家屋であること
  • 売却価格が1億円以下であること

2024年の税制改正により、買主が解体工事を行う場合でも譲渡の翌年2月15日までに解体が完了していれば適用可能になりました。売主が先に解体費用を負担するリスクを避けやすくなっています。

参考元:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

相続税の取得費加算の特例

相続税を支払った方が、相続開始から3年10か月以内に相続財産を売却した場合、支払った相続税額のうち売却した不動産に対応する金額を「取得費」として経費に算入できます。

取得費が増えることで譲渡所得が圧縮され、結果として所得税・住民税を安くする効果があります。相続税の負担が大きかった方ほど節税メリットが大きい特例のため、税理士と相談しながら活用を検討しましょう。

実家じまいの費用を抑える5つのコツ

補助金や税制優遇と併せて実践したい、自己負担をさらに軽くするための具体的な節約術を5つ紹介します。できるものから取り入れてみてください。

自分でできる片付けは先に済ませる

実家じまいの作業をすべて業者に丸投げすると費用がかさみます。衣類・食器・日用品など軽めの荷物は自治体のゴミ収集日に出し、不用品の分別を済ませて一か所にまとめておくだけでも、業者の作業時間が減るため見積額が下がりやすくなります

ただし、重量のある家具や取り外しが難しいエアコン・給湯器などは無理をせず業者に任せましょう。ケガや建物の損傷につながるリスクがあるためです。

複数業者の相見積もりをとる

解体業者や遺品整理業者を選ぶ際は、最低でも3社以上に見積もりを依頼しましょう。相見積もりをとることで、サービス内容と費用を客観的に比較でき、他社を引き合いに出した価格交渉も可能になります。

見積書をもらう際は、作業範囲や廃棄物処理費の内訳が明記されているかを必ず確認してください。「一式」としか書かれていない見積書は、追加費用が発生するリスクが高い傾向にあります。

閑散期に業者へ依頼する

業者には繁忙期と閑散期があり、依頼するタイミングで費用が変わります。

業者の種類繁忙期(割高)閑散期(割安)
解体業者12月〜3月4月〜6月
10月〜11月
遺品整理業者年末年始、お盆前後1月下旬〜2月
5月〜6月
引っ越し業者3月〜4月1月〜2月
6月、11月

閑散期を選ぶだけで10%〜20%程度費用を抑えられるケースもあります。スケジュールに余裕がある場合は、時期をずらして依頼するのがおすすめです。

遺品の買取を活用する

遺品整理の過程で出てきた家財道具のなかには、思わぬ値段がつくものもあります。処分費用をかけるのではなく、売却して収入に変えることで実家じまいの費用を相殺できます。

  • 金・プラチナなどの貴金属:常に一定の買取需要がある
  • ブランド品のバッグ・時計:状態が良ければ高額になりやすい
  • 年代物の家具・食器・骨董品:アンティークとして価値がつく場合がある
  • 家電製品:製造5年以内のものはリユース市場で人気

遺品整理と買取を同時に行ってくれる業者を選べば、手間を大幅に削減できます。

不動産買取業者への売却を検討する

解体費用そのものをかけずに実家じまいを完了させたい場合は、残置物ごと物件を買い取ってくれる不動産買取業者への売却が有力な選択肢です。

買取業者に依頼するメリット
  • 残置物が残ったままの状態で売却できる
  • 解体・リフォーム費用を自己負担する必要がない
  • 契約不適合責任が免責になるケースが多い
  • 仲介売却より短期間で現金化できる

「事故物件」「心理的瑕疵物件」と呼ばれる訳あり物件であっても、専門の買取業者であれば査定・買取が可能性が高まります。

実家じまいで注意が必要なポイント

補助金の活用や費用の節約を意識していても、手順を間違えると補助金を受け取れなかったり、かえって損をしたりする場合があります。よくある落とし穴を確認しておきましょう。

注意が必要なポイント
  • 補助金の受付期間と予算枠は先着順で終了する自治体もある
  • 着工後の申請は無効になるため順序が最重要
  • 解体の判断は固定資産税の増額リスクも含めて慎重に
  • 放置すればするほどトラブルと費用が膨らむ

受付期間と予算枠を確認する

多くの自治体では年度ごとに補助金の予算枠が決まっており、先着順で締め切られるケースがあります。

さらに、来年度も同じ制度が継続する保証はなく、条件や補助額が変更される可能性もあります。「今年度は見送ろう」と先延ばしにしているうちに、制度そのものがなくなるリスクもあるため、利用できるタイミングで早めに申請することが大切です。

着工前の申請を徹底する

補助金は工事の着工前に申請することが絶対条件です。多くの自治体では、交付決定通知が届く前に解体工事を始めてしまうと、補助金を受け取る資格を失います。

正しい流れは「申請書+見積書を提出→自治体の審査→交付決定通知→業者と契約・着工」です。解体業者との打ち合わせが先行しても、契約書への署名や工事のスタートは必ず交付決定後にしてください。

建物の解体をするかは慎重に検討する

実家じまい=解体と考えがちですが、更地にすることで固定資産税の「住宅用地の特例」が外れ、税額が最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。解体してもすぐに売れなければ、高い税負担だけが残ることになりかねません。

また、建物付きのまま売却したほうが買い手が見つかるケースもあります。実家の立地や状態、売却までの想定期間を踏まえ、本当に解体が最善かどうか慎重に判断しましょう。不動産の専門家や自治体の空き家相談窓口に相談するのも有効です。

放置はトラブルにつながる

「判断が難しいからとりあえず放置する」というのは、実家じまいにおいて最もリスクの高い選択です。空き家を放置すると以下のような問題が発生します。

  • 老朽化が進行し、倒壊や外壁の落下で近隣に被害を与える危険がある
  • 雑草や害虫・害獣が発生し、近隣住民とのトラブルに発展しやすい
  • 不法投棄や放火のターゲットになり、防犯面のリスクが高まる
  • 「特定空家」に指定されると固定資産税の軽減措置が解除され、行政代執行で高額な費用を請求される可能性がある

放置期間が長くなるほど建物の資産価値は下がり、修繕・解体にかかる費用も膨らみます。「いつかやろう」ではなく、早めに動き始めることが最大のコスト削減策ともいえるでしょう。

実家じまいの補助金に関するよくある質問

補助金や費用に関して多く寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。申請前の確認にお役立てください。

Q

実家じまいの補助金はどこに申請すればいいですか?

A

実家が所在する市区町村の役所に申請します。窓口は「住宅課」「建築指導課」「空き家対策室」などの名称が一般的です。全国空き家対策推進協議会が運営する「地方公共団体による空き家対策支援制度」検索サイトからも制度の有無を調べられます。

Q

すべての自治体に実家じまいの補助金制度はありますか?

A

いいえ、補助金制度がない自治体もあります。また、制度があっても年度によって予算上限や条件が変わる可能性があるため、毎年最新の情報を確認することが大切です。制度がない場合は、不動産買取業者への売却など別の方法で費用負担を軽減できます。

Q

補助金の審査にはどのくらい時間がかかりますか?

A

事前相談から交付決定まで数週間〜1か月以上が一般的です。耐震診断が必要な場合や申請が集中する時期は数か月かかることもあります。工事完了後の実績報告と補助金支給まで含めると、全体で2〜4か月程度を見込んでおくと安心です。

Q

実家じまいでお金がない場合はどうすればいいですか?

A

解体費用を捻出できない場合は、実家を現状のまま買い取ってくれる不動産買取業者への売却がおすすめです。残置物が残った状態でも買い取ってもらえるため、遺品整理や解体の費用を自己負担する必要がないケースも多いです。

まとめ

実家じまいに使える補助金は「老朽危険家屋の解体」「景観形成地域の除却」「利活用・改修」の3種類があり、補助額は解体費用の1/5〜1/2、上限30万〜100万円程度が目安です。

申請は必ず着工前に行うこと、受付期間や予算枠を早めに確認することが失敗を防ぐカギになります。さらに空き家の3,000万円特別控除や取得費加算の特例といった税制優遇を併用すれば、売却時の税負担も大幅に軽減可能です。加えて、自分での片付け・相見積もり・閑散期の活用・遺品買取・不動産買取業者への売却といった工夫を組み合わせることで、自己負担を最小限に抑えられます。

実家じまいには高額な費用がかかりますが、補助金・税制優遇・節約の工夫を組み合わせることで自己負担を大きく抑えられます。一方で、制度の受付期間や予算枠には限りがあるため、「いつかやろう」ではなく早めに情報を集めて動き出すことが最も重要です。

まずは実家がある自治体の窓口に補助金の有無を確認し、並行して費用の見積もりを取るところから始めてみましょう。

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